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本記事の目的
この記事はこれから英検1級の勉強を始める方や何度も英検1級に挑戦しているものの合格できない方に向けた記事です.
この記事の内容を理解した上で勉強をすることで、英検1級の合格がグッと近づくこと間違いなしです.
初めに知っておきたいこと
この記事は英検1級の合格戦略を紹介する記事ですが、初めに知っておいていただきたいことは、英検1級合格にはやはりそれなりには時間と労力が必要であるということです.
英検1級に簡単に合格する方法やあまり勉強時間は割けないが合格したいといった声を聞きますが、余程元々の英語の実力がない限り、そのような気持ちでは英検1級に合格することは厳しいです.
英検1級に合格するために近道はなく地道な努力が必要であり、だからこそ英検1級に合格することは凄いこと、価値があることなのだということです.
上記の認識を持った上でこの学習戦略の記事を参考にしていただけると幸いです.
学習戦略
優先順位はW>L>V>R
初めに英検1級の学習で何を優先してやるべきかを明確に意識しましょう.
優先順位はずばりW(英作文)>L(リスニング)>V(語彙)>R(リーディング)です.
なぜこの順番で対策すると良いかについて解説していきます.
以下は2021年度第1回の英検1級1次試験の素点とCSEスコアの対応表です.
特に注目していただきたいポイントは青字で数字が記載されている差分という列です.
この列はある行とその1つ下の行のCSEスコアの差分を計算した結果が記載されています.
例えばリスニングの素点23点の行を見てみると、差分のところには715-702という計算から13と記載されています.
この差分を見ていただくと分かるのが、素点が1点変わることによりCSEスコアがどれくらい変わるかということであり、最も素点1点あたりのCSEスコアが高いのは英作文、次いでリスニング、一番低いのは語彙+リーディングということです.
英検1級の合格スコアが2028点なので各単元でCSEスコアが676点(=2028÷3)以上であれば貯金を作ることができるので、表中の赤字の部分が貯金が作ることができる最低ラインになります.
各単元でこの最低ライン付近のスコア差分を見てみると、語彙+リーディングが5-7点、リスニングが9-12点、英作文が13-18点であることがわかります.
つまり英作文は語彙+リーディングよりも素点1点の重みが約2-3倍あるということです.
このことから私は英検1級の対策優先順位として英作文とリスニングを上位に置いています.
また語彙>リーディングとしている理由は、語彙はある程度出る事前に問題を想定することができ準備ができるからです.
詳細は下記の記事にまとめていますが、1級の語彙問題は旺文社の英検1級パス単の見出し語を完璧に覚えておけば18-20点取ることができます.
【英検1級】パス単からの語彙問題の出題率計算してみたこのことからどんな題材の問題が出るかわからないリーディングの勉強をするよりも、パス単に掲載された単語を覚えることができればある程度得点することが確実な語彙を優先的に勉強することを推奨しています.
Wは4段ピラミッドのイメージ
上述の通り英検1級の対策で英作文が一番重要であることは分かっていただけたと思います.
この章では英作文の対策では具体的に何をすれば良いのかについて説明していきます.
イメージは以下の4段ピラミッドです.
ピラミッドとして表現した理由は下に位置するものほど基盤の役割を果たし重要度が高く、上に位置する要素は下の要素があって初めて成り立つものということを伝えたかったからです.
アイデア
英作文を書く上で初めに考えることは何を根拠として書くか?ということで、この大枠のアイデアが出せないとどんなに英語の表現を覚えていても筆が動きません.
アイデアとは、例えばタバコは禁止されるべきか?という問いに対してどのような根拠で論じるかということであり、健康への影響や経済的な負担などがアイデアとして挙げられると思います.
特に強調しておきたいのはこのアイデアを出すということを思い付きに頼らないでできるようにしておくということです.
思い付きに頼ってしまうと、本番の緊張した状態で、かつ難しい問題が出題されたときに焦ってしまい、最悪根拠が出せず英作文が完成しないということにもなりかねないためです.
思い付きに頼らないアイデアの出し方は以下の記事に詳しくまとめているのでぜひチェックしてみてください.
【英検英作文】アイデアを出す具体例
アイデアの後に考えるのは具体例です.
先ほどの例で言うと、タバコの健康への影響の具体例をあげられるかと言うことです.
例えば、肺癌のリスクが上がる、健康寿命が短くなるという研究結果があるなどが具体例になります.
このようにアイデア(根拠)をサポートする適切な具体例(理由でもOK)を挙げられることが二つ目に大切なことです.
具体例は日常的に色々なニュースに関心を持って(日本語でもOK)、英作文に使えるネタをストックしておくと良いでしょう.
もし不安な方は以下の就活生向けの時事ニュースをまとめた本を購入し1冊目を通してみると、様々な分野のニュースを知ることができます.
フレーズ
アイデアとそれをサポートする具体例を出すことができればいよいよ英作文を書くというフェーズに入ります.
この時に有効なのが言葉のかたまり、いわゆるフレーズを使うということです.
フレーズを使うことで0から英文を考える必要がなくなります.
例えばA have a negative effect on-で「Aは-に悪影響を与える」という意味になりますが、このフレーズを覚えておけば、あとは主語と目的語を当てはめれば最低限の英文を書くことができます.
質の高い英作文を短い時間で書くことはどれだけ多く使えるフレーズを覚えているかに依存すると言っても過言ではないでしょう.
どのフレーズから覚えていいのかわからないという方は、どんな題材でも使えるフレーズをまとめたフレーズ集を公開しているのでこちらを参考にしてみると良いでしょう.
英作文で使えるフレーズ集単語・用語
そして最後は単語・用語です.
上述の例で、タバコは肺癌のリスクを上げるという具体例が出ていましたが肺癌に対応する英語がわからないと書けません(lung cancerと言います).
このようによく使う単語や出題されやすい分野、例えば国際、経済、政治などの各分野の最低限の用語を英語で書けるように覚えておくこともまた大切です.
各分野の用語をまとめた用語集を公開しているのでこちらを参考にして必要そうなものを覚えていただくと良いでしょう.
英作文で使える分野別用語集ただし単語・用語は他の単語で言い換えるのでもOKなので、もし本番でぴったり合う英語が思い浮かばなくても知っている単語を使って乗り切りましょう.
上記の肺癌の例で言えば試験本番でlung cancerが書けない場合はcancerまたはdiseaseと書きましょう.
Lは実力+実践力の両方を上げる
英検1級リスニング対策で意識すべきポイントは実力と実践力の両方をアップするということです.
実力とは文字通りリスニングの実際の力であり、実力を上げるために私が推奨しているのは音読パッケージシリーズです.
私自身もこの教材を使いリスニングの実力をアップさせることができたのでおすすめしています.
次に実践力とはリスニングの実力を英検の試験本番で結果に反映する力と定義しています.
実践力を上げるためには、先読み、過去問演習、リサイクル問題を落とさないようにするといったポイントが挙げられます.
先読みの仕方やリサイクル問題の分析結果については以下の記事で紹介しているのでご確認ください.
【英検】リスニング問題の先読みについて 【英検1級】リスニング大問1リサイクル問題について分析してみたVは引っかかり情報の書き込み+繰り返しチェック
語彙対策はまずは旺文社の英検1級パス単です.
Amazonのレビューによると最新の5訂版は簡単になっているようなので、一つ前の版が手に入ればそれを使う方がより難しい単語を覚えられるので良いでしょう.
パス単に取り組む際に重要なことは、記憶に残りやすい情報(私は引っかかり情報と呼んでいます)を書き込むこと、高速で繰り返し回すことです.
詳しくは以下の記事をご参照ください.
【永久保存版】英単語の覚え方また単語学習で大切なことは知らない単語に出会った時にパス単に載っていない単語はノートにまとめてストックしておきましょう.
Rは後回し
リーディングは冒頭で記載した通り、1点あたりの重みが小さいかつ出題される問題の内容が多岐に渡り、努力が結果に結びつきづらい分野であるため後回しで良いです.
もし余力がある方は出題パターンに慣れる目的で過去問を何セットか解いておくぐらいで良いでしょう.
試験戦略
これまでは英検1級の対策について説明してきましたが、この章では試験本番の戦略についてご紹介します.
目標スコア
初めに目標スコアです.
人により単元の得意不得意はあるのであくまでも平均的なパターンになりますが、以下が最も最小の労力で合格できる得点パターンと考えています.
それぞれの単元に対するコメントは以下の通りです.
- V:パス単見出し語を完璧にすれば語彙問題で20点弱は取ることができるので19点は決して難しいものではありません.
- R:語彙で稼ぐ分、Rは半分でOKです. 全ての問題を読まなくても良いので大問2で出来るだけ多く正解を拾えると良いでしょう.
- L:実力をつけた上で、過去問等でリサイクル問題の対策もすれば20点を目指すことはできます.
- W:英検英作文は採点が甘めと言われているので内容+論理がある程度出来ていれば多少のミスがあっても26点は取れます.
時間配分
次に時間配分です.
試験が始まったらまずは英作文からやりましょう.
英作文には最大40分かけて良いのでしっかりした内容の英作文を書くようにしましょう.
40分の内訳は構成メモ10分+英作文25分+見直し5分ぐらいで考えておくと良いでしょう.
英作文が終わったら語彙問題に取り組みましょう.(この時点で残り60分)
語彙問題は10分で解答しましょう. 過去問を時間を測って度くらいのペースで解答していけば10分になるか検証しておくと良いでしょう.
おすすめは知っている単語の選択肢から順番に見ていき、正解になりそうか当てはめていくという方法です.
語彙が終わったら読解に移りましょう.(この時点で残り50分)
読解は40分でできるところまで回答する、また半分取れれば良いのであまり焦らずに取り組みましょう.
40分経って読みきれなかった問題については適当にマークしましょう.
最後にリスニングの先読みです.(この時点で残り10分)
リスニングの先読みは残り時間10分をフルに活用し、リスニングの設問と選択肢に目を通し必要なメモを書き込みましょう.