目的
この記事では英作文を書く上で使える論理の考え方、いわゆる論理的思考のポイント3点を解説していきます.
主に「英検の」英作文を対象と考えて記事を書いていますが、一般的な英作文やスピーチなど論理が求められるものにも同じ考え方が求められます.
ポイント1. 各文の役割と前後関係を把握する
論理的な文章を書くうえで大切なことの1つ目は「各文の役割と前後関係を把握する」ことです.
「各文の役割を把握すること」とは単文を読んだり、聞いたりしてその文がどのような役割を果たしそうか分類することができるということです.
「前後関係を把握すること」は複数の文の集合に対して、前後関係を考えてそれらを意味が通るように組み立てることができるということです.
具体例
少し抽象的なので具体的に見ていきましょう.
例えば、以下の4つの文を意味が通るように並び替えてくださいと言われたとしましょう.
- 以上の通り、私は朝がとても苦手だ
- 私は朝早く起きることが苦手だ
- 実際に毎朝起きれず、母に起こしてもらっている
- なぜならば、朝は頭がぼーっとするからだ
まずは各文がどのような役割を担っているか見ていきます. ↓こんな感じですね.
- 以上の通り、私は朝がとても苦手だ →まとめ
- 私は朝早く起きることが苦手だ →主張
- 実際に毎朝起きれず、母に起こしてもらっている →具体例
- なぜならば、朝は頭がぼーっとするからだ →理由
次にこれらの文の前後関係を考えて、意味が通るように並び替えてみます. ↓こんな感じですね.
- 私は朝早く起きることが苦手だ →主張
- なぜならば、朝は頭がぼーっとするからだ →理由
- 実際に毎朝起きれず、母に起こしてもらっている →具体例
- 以上の通り、私は朝がとても苦手だ →まとめ
このように各文の役割を理解し前後関係を整理することができれば、論理的な文章を書くことができます.
また論理展開には決まった型が存在するので、それらを勉強しておくことも大切です.
PREP法は論理展開の型の一つです.
「結論(Point)→理由(Reason)→具体例(Example)→結論(Point)」で論理を展開することで、読み手が理解しやすい論理的な文章を書くことができます.
上記で扱った具体例もこのPREP法を用いて構成されています.
ポイント2. 論理の階層を意識する
論理的な文章を書くうえで大切なことの2つ目は「論理の階層を意識する」ことです.
私たちは普段はあまり意識しませんが、論理の階層が揃っているものを美しく論理的であると認識します.
具体例
こちらも具体例で確認していきましょう.
例えば、「タバコは吸うべきではない」という主張をするための根拠を考えてみましょう.
- お金がかかるからタバコは吸うべきではない
- 肺癌のリスクが上がるからタバコは吸うべきではない
といった根拠はすぐに思いつくと思います.
しかしながらこれらの根拠は階層が異なっており、論理の階層を意識できていません.
以下が図示したものでこの図を見ると論理の階層がずれていることに納得できるのではないでしょうか?
経済的な負担の話と肺癌の話は抽象度が異なるので、この場合は以下のようにまとめると論理の階層が揃ってスッキリするでしょう.
- お金がかかるからタバコは吸うべきではない
- 具体的には、タバコの税金が近年上がっている
- またタバコ自体の料金も上がっている
- 健康面に悪影響があるからタバコは吸うべきではない
- 具体的には肺癌のリスクが上がると言われている
- またタバコはその他の病気の原因にもなり得るという調査結果もある
このように論理の階層、つまり同じ抽象度で論理を展開することが英作文では重要です.
ポイント3. MECEを意識する
論理的な文章を書くうえで大切なことの3つ目は「MECEを意識する」ことです.
MECEとは「Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive」の略であり、「漏れなくダブりがない」ことを意味する論理的思考のフレームワークの一つです.
図示してみるとわかりやすく、右下の例がMECEになります.
具体例
具体的に見ていきましょう.ここでは日常生活で見つけたMECEではない例を示す1枚の写真をご紹介します.
この写真はある蕎麦屋さんのメニューの写真で、私はこのメニューを見てMECEになっていないと感じました.
どこがMECEになっていないかわかりますでしょうか?
写真中央にジュース、レモンと記載がありますが、レモンはおそらくレモンジュースという意味なのでジュースの中に含まれてしまいます. そのためダブりが発生してしまうのでこのメニューはMECEになっていないと言えます.
ここでは本来は○○ジュース、レモンジュースと分けて書く方が良いでしょう.
英作文の話に戻ると、英検英作文を書くうえでよくある誤りの一つに、パラグラフ間で内容が重複してしまうこと(=MECEでないこと)があるので、この考え方を意識して書く必要があります.
例えば以下のような内容ではパラグラフ間で内容が重複してしまっています.
NG例
- お金がかかるからタバコは吸うべきではない
- 具体的には、タバコの税金が近年上がっている
- またタバコ自体の料金も上がっている
- 健康面に悪影響があり医療費がかかるからタバコは吸うべきではない
- 具体的には肺癌のリスクが上がると言われている
- 体調を崩すことで余計な医療費がかかる
一見別の話をしているので問題なさそうにも見えますが、どちらもお金がかかる話をしているため上記の内容ではNGです.
まとめ
さて、今回は英作文を書く上で必要となる論理的思考のポイント3点について具体例を用いて紹介させていただきました.
英作文は様々な英語表現や語彙を使って書くことはもちろん大切ですが、大前提として論理的思考ができないと適切な解答ができません.
ぜひ上記のポイントを意識して、トレーニングをしてみてください.